真・MFC千夜一夜物語 第339話 MFCだって自動運転! その2
「マスフローコントローラー(MFC)は車のように自動運転ができるか?」というお話です。今のMFCは流量設定信号(SV)を貰ったら、流量信号(PV)と一致するようにバルブ制御信号(MV)を制御しています。これは一見自動運転なのですが、実はDecoさんの若いころの車についていたクルーズコントロールレベルなのですとお話ししました。
では、この運転では何か困ったことが生じるのでしょうか?
はい、例えばこんな時です。
MFCのガスの流れを上流側の空圧弁で閉じて、待機している際に、MFCに希望したSVを入力したままにして置きます。
この時、流量センサーの出力:PVは流れが無いので当然は0になっています。MFCの自動運転は、SV>PVなのでSV=PVとなるように制御しようとして、MVを増やしますが、当然ガスが来ないのですから、SV>PVの状態が続き、バルブ開度は最大で維持されてしまいます。
ここで空圧弁が開くとどうなるかというと、バルブ全開待機状態なわけですから、本来流したかったSVよりはるかに大きな流量がどかーっと流れてしまいます。
ガスサージの発生ですね。
これって車の自動運転で言うと、信号が赤で停止していたら、青になった瞬間にフルスロットルで飛び出してしまったようなものです。
危ない、危ない。
でも、MFCの自動運転は決して間違ったことをしたわけではないのです。流したい流量であるSVと、流量センサーが検知した流量PVがそれと一致するように、バルブ制御信号MVを制御した結果なのです。
こういった場合、MFCのSV=PVにしなくてはならないというルールの実行を誰かが止めてあげないといけません。
「今はどんな指示が来ても、バルブは全閉にしておきなさい。」と言う指示です。
この事をバルブ強制閉信号といいます。
アナログ信号は、MFCの強制閉信号を受け入れるピンと-15VDCを短絡させることで可能になります。
デジタル信号の場合は、"バルブクローズ"コマンドを入れるのですが、気を付けにといけないのは、モデルにより"バルブクローズ"コマンドは、強制閉モードの事ではなく、単にSV=0にするだけのMFCもある事です。
「SVがゼロならいいじゃないですか?」という声が聞こえそうです。
SV=0、PV=0ならSV=PVですよね?
でも、PVがマイナスならどうなりますか?
やはりSV>PVとなってしまいますよね?
そしてMFCはゼロがマイナス方向にずズレることもあるのです・・・
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan