真・MFC千夜一夜物語 第343話 MFCだって自動運転! その6
マスフローコントローラー(MFC)のPI(Pressure Insensitive)機能に関してお話ししています。
前回の最後でこう書きました。
>MFCメーカーは、個々の装置でどのような使われ方をしているか?どのような圧力変動が
>どれくらいの幅と時間で生じているかを把握しているわけではありませんから・・・
>うむ?よく考えたら、MFCがどのような使われ方をしているか?を把握している人は、
>MFCメーカー以外にいるではありませんか?
そうです。
それはMFCをシステムに組み込んでお使いの"貴兄"です。
「えっ、そんなの知らないよ!急に自己責任にして、Decoさんは逃げる気のか!」と、お叱りを受けそうですが、よく考えてみて下さい。
装置のオペレーションをしている方々は、ガスシステムの中でのバルブの開閉やMFCの動作等まで御存知ではないでしょう。
でも、少なくともこのMFCの搭載されている装置を設計した方々はご存じのはずではないのでしょか?
急峻な圧力変動は天変地異のように、あり日突然起こるわけではありません。
装置のガスシステムで、MFCのライン切り替えという動作が行われた際に、大小の差はあれ起きる事です。
ならば、わざわざ圧力センサーをMFCに積んで、急峻な圧力変動かどうかをジャッジさせなくても、そのタイミングでMFCの"流量制御を一時停止してね"とサインを送ってもらえば済むようにすればどうでしょうか?
自動車の自動運転で状況判断してブレーキを踏むには、カメラや超音波センサーのような色んなセンサー情報が必要かと思いますが、それは必ずこのタイミングでブレーキを踏まなくてはいけないという状況ではなく、いつどこでイレギュラーが発生して危機回避しなくてはいけないからです。でも、MFCのPI動作に関しては、装置のガスシステムが正常に動作している限りは、そういった突発事項への対応ではなく、ルーチンワークだと思うのです。
それならば上図のように、ある"流量制御を一時停止!"を意味するコマンド=バルブホールドコマンドを装置側から受信した際に、MFCは通常制御モード=設定信号(SV)と流量センサーからの流量信号(PV)を比較して、それらが一致するようにバルブ制御信号(MV)を常に可変させるモードから、MVを直前の値で保持するような動作モードに移行する仕組みでもよいのではないでしょうか?
「あれ?MFCの自動運転という話じゃなかったの?」という迷走気味な展開になってきましたね。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan