真・MFC千夜一夜物語 第344話 MFCだって自動運転! その7

2021年09月07日

マスフローコントローラー(MFC)PI(Pressure Insensitive)機能を題材にMFCが自動運転する事に関して論じてきています。
前回、PI機能に関して、"流量制御を一時停止!"を意味するコマンド=バルブホールドコマンドを装置側から受信した際に、MFCは設定信号(SV)流量信号(PV)との比較制御を停止してバルブ制御信号(MV)を直前の値で保持する動作をすればいいのではないか?との問いかけをさせて頂きました。

つまり、MFCは自身の判断でPI機能を実行する=自動運転する必要は無いという考え方です。
これはMFCが装置側のPLC等のマスターに制御されるスレイブの存在である限り、正しいとDecoは思います。(この制御で使うスレイブ/マスターと言う言葉も使えなくなっていきそうですね・・・)

ただ、このご提案を装置メーカーの方々に持ちかけると・・・あまりリアクションが芳しくないのも確かです。

「MFCの事なんだから、自分で何とかしてよ・・・」

「圧力式ならそういった問題は無いんだし・・・」

はっきりはおっしゃいませんが、こういった感想なのでしょうか?

確かに今まで、MFCメーカーって勝手に"デジタルで高性能、高速応答だ!"と半導体メーカー(エンドユーザー)さんに宣伝して、気に入ってもらえたお客様からの御指名で装置に搭載してもらうという、装置メーカーさんからしたら、「今更、システムのパーツの一つですよ!って顔されてもねぇ・・・」という気持ちになられても、不思議ではないんですよね。

それもこれもMFCは自動運転まではいかなくても、SVを貰ったら、PVと一致するようにMVを制御してしまうクルーズコントロール付き自動流量制御バルブ的な性格のせいなのです。
装置メーカーさんから見たら、自分たちの装置の中に存在しながら治外法権的なふるまいをするブラックボックスなのです。

ただ、Decoが最近、こういったご意見をお届けしてるのは、MFCに勝手をささない、装置からのオーダー下に置くのには、絶好の機会が訪れているからなのです。
お前はどっちの味方なんだよ?と、言われそうですが・・・

1つには以前よりエンドユーザーさんのMFCに対する関心が低くなっている事です。
これは300mm装置以降、明らかな傾向です。
それだけMFCメーカーも淘汰されて、数社に絞られてきて、技術の差こそあれ、ある一線を超えるクオリティのものしか残っていない事が挙げられます。

そしてもう1点、これは技術的な面です。
産業用イーサーネット"EtherCat"のような高速産業用ネットワークがいよいよ装置のデフォルト通信規格となりつつあるからなのです。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan