真・MFC千夜一夜物語 第363話 流量と圧力制御は同時にはできませんよ! その4
圧力センサーを搭載した制御モジュールとして形は似ていますが、そもそも圧力式マスフローコントローラー(MFC:Mass Flow Controller)やPI-MFCとAPC (Automatic Pressure Controller)は違うものですよというお話です。
APCと呼称されている機器は、MFCの機器構成を利用してセンサーを圧力センサーの置き換えたものがほとんどです。
「圧力センサーからの圧力信号と設定した圧力値とを比較し、流量制御バルブを制御した結果、圧力を調整するAPC」と、「流量センサーからの流量信号と設定した流量値とを比較し、流量制御バルブを制御した結果、流量を調整するMFC」この2種類の制御システムを一緒に使うとどうなるか?以前も解説しましたが、下の図を見てください。
APCとMFCはケンカが絶えないとはどういう意味でしょうか?
これはどちらも流量制御バルブを使って流量を制御しようとしているから起きるのです。
流量を制御した結果として圧力を制御するAPCは、制御バルブの構成がMFCと同じなので、Kv値の異なるMFCを2台直列につないで、更に異なる流量値に制御しようとしているのとあまり変わらない結果になってしまうのです。そうなると最悪はお互いが流量の増減を繰り返して、ハンチングを起こすような現象が続いてしまうことになります。
MFCとAPCを直列につないで流量と圧力同時制御!というのは、上手くいかない事が多いのですが、でもその両方を取り込みたいという要望がある場合はどうすればいいのでしょうか?
Decoは回答として「MFCかAPC、どちらかを制御してどちらかがモニターに徹すればいい。」と、ご助言しています。
「APCで圧力制御をしながら、流量値をマスフローメーター(MFM)でモニターする。もしくはMFCで流量制御をしながら、圧力値を圧力センサー(PT)でモニターする。このどちらかでいかがですか?」とお話ししています。
例えばチャンバーに送るガスを流量と圧力で制御したいという御希望をお聞きすることがあります。チャンバーをある一定の圧力に到達させる際に、導入したガス量もプロットしたいという御要望に対しては、APCで圧力制御させて、MFMで流量測定するような組み合わせになります。
出展:ブロンコスト・ジャパン(株)
ブロンコストの新製品"FLEXI-FLOW Compact"はファームウエアの変更で、"PTを積んだMFC"にも"MFMを積んだAPC"にもなるので、こういった用途を1台でこなせて最適ではないでしょうか?
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan