真・MFC千夜一夜物語 第422話 MFCの応答性能 その4

2024年01月23日

線型熱式流量センサーを搭載したマスフローメーター(MFM)の応答がマスフローコントローラー(MFC)のそれよりも決して早くはない理由のお話です。
前回は流体に直接接触するMEMS型は感度が良く応答が速いというお話と、それでもMFCのメイン市場である半導体製造装置では採用しづらい理由を解説しました。

流体に腐食性ガス、毒性、可燃性ガスが多い半導体製造分野では、やはり旧来のセンサーが流体に非接触である巻線型が好まれるのですが、だからといってその応答性能に満足されていたかと言えばそうではありませんでした。
では、巻線型流量センサーを搭載したMFCはどうやって応答性能を向上させたのでしょうか?
実はこの部分が今回のお話の巻線型熱式流量センサーを搭載したMFMの応答がMFCのそれよりも決して早くはない理由と密接に絡んでくるのです。

以前、MFMとMFCの応答がどのような構成であるかを図で御説明したかと思います。

この図にあるように、MFMは流量センサーだけで構成されますので、熱の移動を流量に変換して流量信号として出力するだけです。
それに対してMFCはその流量信号を用いて、設定信号と比較し、流量制御バルブ開度の制御を行った結果、流量が制御されるのですから、どう解釈してもこの2つの図を比較する限りは、MFMの応答がMFCより遅い訳はありません。
確かにこの図ではそうなのですが、ではMFCで以下の動きがあったとしたらどうでしょう?

「えっ?それって流量信号が出力される前にバルブが動いているってこと?そんなことできるの?」と、思いますよね?
それができるんです。
次回からその仕組みをお話ししましょう。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan