真・MFC千夜一夜物語 第425話 MFCの歴史を振り返ろう その1

2024年03月05日

今回からマスフローコントローラ(以下MFC)の歴史に関して振り返っていきたいと思います。
このブログも425回目です。
ここまでお読みいただいている読者の皆様には大変感謝しております。
DecoがMFCメーカーから離れ、一介のコンサルタント、エヴァンジェリストとして過ごして10年になります。
これを期にMFCという不思議な工業製品の技術動向をその歴史を俯瞰しながらまとめて行きたいと思いました。

MFCが使われるようになって半世紀以上が経過し、今、MFCに触れる世代は当たり前のようにMFCで流量制御を行っていると思います。
しかし、MFCの成り立ちや本質に関して理解している世代は、既に一線から退いてしまわれているのが現状です
色々な事情から、先人達の貴重な知識の伝承が、次世代へ確実に行われているとは言い難いように思います。
こういった状況下で、Decoが経験してきた様々なMFCに関する知見を次の世代に伝える事を使命にこのブログを始めました。
少しでも皆様のお役に立てれば、幸いです。

まずは、MFCの要である流量センサーの歴史からです。

熱式流量計で用いられている流量センサーのオリジンは熱線式風速計ではないかとDecoは考えています。
流れを知るには流体の圧力、流速を捉える必要があります。
特に流速で使用される流速計では風車のようなベーン式、レーザー式、超音波式等がありますが、その中でも実用化が早かったのはピトー管式です。
ピトー管は飛行機の先端や翼端に設置されていて、速度計として使用されています。
過去にこのピトー管の閉塞で痛ましい事故が何度も生じたことがあるくらい、ジェット機にとっては命ともいうべきセンサーなのです。
ピトー管式の測定原理は下図にある通りです。

流体の圧力(全圧)はベルヌーイの定理から動圧と静圧の総和です。
このとき動圧p(全圧‐静圧)は流速uの二乗と比例関係にあることを利用して流速を導き出します。ただし流速の二乗に比例するというこの流量式、そして差圧を測定するデバイスの性能上、流速の低い領域を苦手とする傾向があるのです。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan