真・MFC千夜一夜物語 第450話 質量流量計のトラブルシューティング その7

2024年10月15日

マスフローコントローラー(以下MFC)を含む質量流量計の基礎に立ち戻って、その原理から生じるトラブルシューティングに関して解説していきましょう。
今回はコリオリ式流量計の不具合対策の最終回です。

と言いつつ、いきなり脱線するのですが、実は先週関西の展示会でブロンコスト・ジャパン(株)のブースに立っておりました。
その際に名刺交換させて頂いた同業の方々から「MFC千夜一夜物語!読んでますよ!」「役に立ってます!」と、次々とありがたいお声をかけて頂き、感謝感激でした!
駄文を書き連ねてきて今回で450話ですが、こうやってリアルでお会いした読者の皆様の応援が大きな支えとなっております。
改めて御礼を申し上げます。

さて、コリオリ式の話に戻ります。
コリオリ式は圧力をかけてセンサー管を流体が流れさえすれば、質量流量で測定できてしまうと解説しましたが、それでもオイル等で低温となると粘度が上がり、ゲル状から固形に至るような物性の流体を使用する際は気を付けなくてはいけません。
元圧を上げて押し込めるならばよいのですが、得られる圧力によっては低温環境では全く流れないと言った事態も想定しなくてはなりません。
その場合は、配管やコリオリ式マスフローをヒーターで昇温する事で解決できることもあります。
オイルなどの粘性の曲線はある温度域で急激に変化する傾向があるので、その温度以上に昇温出来るなら、とんでもなく昇温する必要はありません。
また、コリオリ式流量計は繊細な電気回路で構成されています。
例えばピックアップ部や、流量式にあるKsバネ定数への温度補償回路です。

70℃を超える高温は電子部品にとっては避けるべきです。
ブロンコストのように、流体温度が70℃を超える場合、周囲環境温度を常温、もしくはそれより下げてほしい旨を取扱説明書で謳っているメーカーもあります。
ヒーティングはくれぐれも注意して行って下さい。

出典:ブロンコスト・ジャパン(株)

質量流量計である熱式とコリオリ式の測定原理を再説明し、トラブル対応に関して解説しました。どのような流量計にも弱点はあります。
それはその流量測定原理を理解していれば、自ずと理解できることなのです。
故に「便利で正確」というメーカーの触れ込みだけで流量計やマスフローを選定せず、まずは腰を据えて流量測定原理から学んで頂きたいとDecoは思っています。
いろんなトラブルの解も必ずそこに存在しているのですから・・・

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan