真・MFC千夜一夜物語 第451話 コンバージョンファクターという曲者 その1

2024年10月22日

マスフローコントローラー(以下MFC)やマスフローメーター(以下MFM)でよく使われる言葉に、コンバージョンファクター(以下CF)という言葉がありますね。
この連載でも何度も取り上げていますが、読んで字のごとく、変換係数のことです。

では、何を変換するのか?と言うと、多くの場合、メーカーで流量調整や校正時に使用するガス(窒素や空気)に対して、実際にMFCやMFMで使用する実ガスとの流量比を表す数字の事であす。
Decoが行ったMFC講習会の質疑の際に「圧力式にはCFはありませんよね?」といった問いかけがありました。
どうやらCFは熱式流量計独自のものであると考えているユーザーが多いようですが、答えはNoです。完全な質量流量計であるコリオリ式以外の流量計は、皆CFのような変換係数が必要となるのです。
今回はそれを解説してきたいと思います。

【熱式流量計のCF】

まずは熱式流量計です。
熱式流量計の流量式は、連載で何度も解説していますが、図のようになります。

熱式流量計の主流である巻線型の仕組みは以下になります。
「抵抗発熱体をセンサー管外周に2つ(ないし3つ)設置し加温する。管内に流体が流れた際、上流下流各々の抵抗発熱体から流体が奪った熱量を捉えられれば流量を導き出せる。」というものです。
この熱の移動にはある特性があることがわかっています。
これは熱式流量センサーのとって非常に大切な特性です。
図の流量式を見ればわかるように、ここで重要な役割を果たすのが、流体の固有の係数である定圧比熱です。
流量式に流体固有の値である比熱を持つ熱式流量計の示す流量は、当然流体種に左右されてしまいます。
つまり熱式流量計の流量検出原理の肝である「流体が奪う熱量」は対象となる流体により差があると言うことを、この式は語っているのでしたね?

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan