真・MFC千夜一夜物語 第458話 質量流量を用いた最新アプリケーションは? その2

2024年12月17日

本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)を紹介しています。

質量流量計と体積流量計の違いに関して改めて図で示します。

現時点で、質量流量計というカテゴリーに属する流量計は、熱式とコリオリ式しかありません。
質量流量とは、ある地点を通過する流体の量を"質量"で表したもので、体積流量とは、ある地点を通過する流体の量を"体積"で表したものです。
従って両者の差は、あくまで流れの量をどの切り口で表現するか?という視点の違いだけです。

しかし質量流量が体積流量よりも有利な点があります。
それはあらゆる測定・計測コンディションで不変の単位である質量を用いることです。(故に"重量"ではなく"質量"なのです。)
それに対して体積流量は、 ボイル・シャルルの法則「ある質量の気体の体積[V]は、絶対圧力[P]に反比例し、絶対温度[T]に比例する」に従って、温度・圧力というファクターで標準状態を定義する必要があります。
つまり測定された値(アクチュエアル流量)に温圧補正をかけないといけないのです。
温度・圧力を間違えて運用すると大きな誤差を生んでしまうことになるのです。
この時点で質量流量計の優位は大きいことがわかりますね?

皆さんにはすっかりおなじみでしょうが、質量流量計である熱式とコリオリ式の流量式を改めて示します。

実は両者には大きな違いが存在しています。
熱式は流体が奪う熱量から流量を求めます。
それ故、熱を奪う側である流体の物性である比熱をその流量式に含んでいます。
それはつまり流体の物性が正確に把握できていなければ、質量流量を算出できないという事なのです。

それに対して、コリオリ式の流量式には、そういった流体の固有の物性に関わるものが一切含まれていません。
つまり、コリオリ式は熱式のように流体種を特定してその物性を確認しなくても良いのです。
温度圧力などの環境条件の変化で流体の物性が変化したとしても影響を受けませんし、複数の流体の混合流体の混合比が明確になっていなくても、またはその混合比が刻々と変化するような状態でも、質量流量を測定できる事を意味していて、これはコリオリ式流量計の特筆すべきポイントとなっています。
Decoもその特性からコリオリ式こそが完全な質量流量計であり、理想に近い存在であると常々お話しさせていただいています。

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan