真・MFC千夜一夜物語 第471話 MFCを取り巻くデジタル通信環境 その2
本ブログでは質量流量計(熱式流量計、コリオリ式流量計)であり流量をアナログ信号やデジタル信号で出力するマスフローメーター(以下MFM)や、流量信号を基に流量制御を行うマスフローコントローラー(以下MFC)及びその応用技術での流体制御を紹介しています。
第470話からはデジタル通信の現状に関して解説をしています。

出典:ブロンコスト・ジャパン(株)
ブロンコスト(Bronkhorst High-Tech.B.V.)の最新型MFC"FLEXI-FLOW Compact"シリーズはアナログI/Oを搭載しないデジタル制御オンリーなMFCです。
FLEXI-FLOW Compactは流量センサーの他に圧力センサーも搭載していて、ファームウエアの変更でAPC(Automatic Pressure Controller)としても機能できるMFCです。
APCはMFCの兄弟のような機器でしたね?

上図のMFCとAPC各々の構成を見ればMFCの流量センサーを圧力センサーに変えたものがAPCであるとわかります。
MFCが「流体の流量を測定し、予め設定された流量値になるように制御バルブで流量を制御する」のに対して、APCは「流体の圧力を測定し、予め設定された圧力値になるように制御バルブで流量を制御する」しているのです。
誤解されている向きがありますが、MFCベースで作られたAPCは「流体の圧力を測定し、予め設定された圧力値になるように制御バルブで流量を制御し、その制御した流量を送り込む、もしくは引き出す事で、結果として圧力を制御する」デバイスです。
従ってAPCに搭載されているバルブはMFCの流量制御用と同じ構造のものなのです。
バルブ開度を調整すること=バルブでの圧力損失値を可変することで、流量を増減して結果的に圧力を作り出しています。
APCがセンシングするのは圧力ですが、バルブが制御して生じるのはあくまで流量であるという点で、同じ圧力を調整する機器である調圧弁(レギュレーター)の弁構造とはかなり異なるのです。
圧力センサーを上流下流に搭載したFLEXI-FLOW Compactは、制御アルゴリズムを変更する事で、「圧力条件変動が与えるCFへの影響を補正して流量を制御し、なおかつ圧力情報をモニターできるMFC」にも「圧力を検知して制御バルブで流量を制御した結果として圧力を制御し、なおかつ流量をモニターできるAPC」のどちらへも対応できます。
このような先進的なMFCが必要とする複数のセンサーからの情報をハンドリングするのはアナログI/Oでは難しくなります。
流量のみならず圧力信号を取りし、MFCとAPCを切り替えて運用できるこのMFCをアナログI/Oで動かすのはナンセンスだと判断されたのでした。
デジタル通信が望まれる理由は、データー(情報量)の増加です。
デジタル化により機器の能力が向上するのはマスフローだけではなく、あらゆる機器に及びます。配管ラインの温度、圧力の信号はポイント毎にセンサーが配置されています。
それら機器からの情報をリアルタイムで吸い上げ確実に処理をするには、デジタル通信が必須となるのでした。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan