真・MFC千夜一夜物語 第326話 MFCの応答性 その2
前回はマスフローコントローラー(MFC)の応答性に関する定義をご説明しました。
比較する物差しが同じでないと意味がありませんからね。
それでなくてもMFCの応答性というスペックは、色んな誤解を生じてきたのです。
今でも顧客さんとお話ししていると言われるのが、「このMFCはピエゾアクチュエーターを積んでいるから、応答が速いですよね?」という認識です。
これは×ではありませんが、必ずしも〇ではりません。
MFCの応答性を構成している要素を下図に示します。
ここでは熱式流量センサーを搭載したMFCをモデルとしています。
上流/下流で対になった流量センサーの配置された細いパイプへ分流された流体が流れ込み、上流の熱が下流へ移動をします。
その量をブリッジ回路で取り出して流量へ換算します。
換算するというのは、温度補正や直線性などの各種補正も入るという事です。
最近のデジタルMFCではセンサーからの微細なアナログ出力をADコンバーターでデジタル信号へ変換してから行われます。
こうして流量信号(PV)として出力された信号は、制御回路にある調整計(PID制御回路等)で外部からの流量設定信号(SV)と比較・判断され、SV=PVとなるように、バルブ操作量(MV)が決定し、アクチュエーターに向かって指示されるのです。
ここまでお話ししてくるとお判りいただけるのですが、アクチュエーターの応答性の勝負はこの最後のMV値が設定・可変されてからなのです。
(一番上の図で赤い点線で示した部分)
故にMFCの応答性能はアクチュエーターへの依存は少ないことがわかりますね?
たしかに単体比較ならば、ピエゾアクチュエーターはソレノイドより速いのですが、"MFCの応答性を問うならば、当然MFCというパッケージで考えないといけない"という事なのです。
【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan