真・MFC千夜一夜物語 第331話 MFCの応答性 その7

2021年03月09日

ご無沙汰いたしておりました。

心不全からの合併症で正月明けから37日間の入院生活とその後、退院しての自宅での療養生活を送っておりましたが、徐々に仕事を増やしていきつつあります。
EZ-Japan の看板コンテンツ(と、Decoが勝手に思っているだけかもしれませんが・・・)MFC千夜一夜物語も、ようやく再開させることができました。

これも皆様からのご支援、ご声援のお陰です。
危うく330話で終わるところでしたこの物語、"まだまだ続けろ"との天命で命を拾えたと思って、1001話まで頑張っていくつもりです。

さて、MFCの応答性に関する解説でしたが、その制御の仕組みをお話ししてきました。
現実のMFCの使用方法で解く面する数々の問題の内、実はこの特性が絡んでいる事例をご説明しましょう。
ユーザーから質問を頂く事がゼロ点と並んで結構多いのが、「MFCがSV(設定信号)通りに追従しないけど、どうしてか?」というものです。
詳しくお聞きすると、ユーザーさんの入力しているSVは以下の図のような場合が多いです。

または、ランピングと言うある時間をかけてSVを目標値へ到達させるやり方。

これらSVを刻々と変化させる制御方法は、流量センサーが熱の伝導を原理に用いる熱式センサーを積んだMFCは最も苦手とするところなのです。
大概のMFCはオーバーシュートやアンダーシュートをくり返しながら流量制御をしてしまいます。
SVの波形通りにMFCを動かしたいのに、制御はかけ離れたぐしゃぐしゃの波形になってしまう訳です。
そもそも現行世代のMFCはそのセンサーの遅さと、それに対して高速なアクチュエーターの危ういバランスで成り立っていますので、こういた制御で流量を増加させようとすると、SV=PV(センサーからの流量信号)に至る前に、SVがまた増加してしまい、結果として常にSV>PVの状態で流量制御を行うことになります。(流量を減らす際は逆です。)

また、配管のボリュームを考慮すれば、MFCで制御しようとしても、その下流に残留しているガスが制御されるわけではありません。
故にMFCのPVの波形が、たとえ思惑通りになったとしても、ワークのあるチャンバーへその通りに流れるわけではないのです。

本来のMFCに望ましいSVの与え方は、見慣れた下図の形です。

この基本を守って、使用いただきたいとDecoはいつも助言させて頂いています。
MFCは万能ではありませんし、流れだしたガスや液体はすぐにそれを増減できるものではありませんので・・・

【あなたにMFCの夜が来る~真・MFC千夜一夜物語】by Deco EZ-Japan